2013年6月14日金曜日

ネガでもポジでもありません。

私が参考にしているサイトにhttp://myindex.jp/global_per.phpがあります。
世界中の株式市場の様々な指標(PER,PBRなど)を一目で比較できる便利なサイトです。
そこにあるデータをちょっといじって感じたことを徒然なるままに。

超長文なので簡単に本記事を要約すると、
・2013年4月の時点で、日本の株式市場は割安とは言えない状態。
・一方、これから流入しうる投資金余力はふんだんにある。
⇒割安ではないが上昇余地はまだまだある。
⇒上記を踏まえた上での投資判断をしよう。

というところです。

ネガティブな発言でもポジティブな発言でもありません。





2013年4月時点でのデータでは、(4月1日なのか末日なのかはわかりませんが。)
日本の株式市場の実績PERは26.3倍で世界で最も割高な数値です。
(世界の平均は16.3倍)

また、配当利回りは1.61%で最下位クラス(世界平均は2.55%)です。



PERと配当利回りのみを世界平均と比較すると、40%ほど割高です。
(4月の株価を40%引きすると、PERは15.8倍、配当利回りは2.68%になる)

当時の株価は13000円ほどですから、40%引きすると8000円弱。
アベノミクス相場が始まる前のが適正値であったように見えてしまいます。
(あくまでPERと配当利回りから判断すると)



一方、PBRは1.5倍で、世界平均の1.9倍を下回っています。
PBRの観点から見ると平均より割安であり、
これがPER、配当利回りの割高さを肯定する1つの材料になりそうです。

さて、当該サイトにはPERとPBRは載っていますが、ROEは載っていないため、
さくっと計算してみました。

その結果は・・・

予想通りだったのですが、日本のROEは5.70%で世界平均である11.66%の半分にも満たず、
群を抜いて世界ワーストワンです。

データが載っている46カ国のうち、EPSが赤字のためROEの算出できない
イタリア、アイルランド、フィンランドを除くと、ROEが一桁なのは日本を含め7カ国。
そのうち9%を切っているのは日本とオランダ(8.42%)のみ。

ワースト2のオランダですら8.42%ですから、日本の値がどれだけ悲惨かわかるでしょう。

一方、配当についてもう少し詳しく見てみました。

なんとなく日本は「配当性向が低い」というイメージがありました。
したがって、配当利回りの低さは配当性向の低さにも起因していて、
「余力」という点では捨てたものではないだろうと思っていましたが、
結果は、日本の配当性向は世界平均と同じ42%程度でした。

一方配当性向が高いと勝手に思い込んでいたアメリカは34%と、
世界平均よりもずっと低い値でした。


ということで日本の株式の平均ROEは5.7、配当性向は42%なわけですが、
これを世界平均(ROE11.66%、配当性向42%)と比較し、
長期的なBPSとEPSの伸びを比較してみると、


まぁよくある絵の通りですね。

当初BPSを両者とも100とし、ROE、配当性向はずっと一定。
EPSは配当金以外はすべて次期のBPSに組み入れて計算していきます。

ROE5.7%の場合とROE11.66%の場合を比較すると、
30年後のBPS⇒前者は265で後者は712。
30年後のEPS⇒前者は15で後者は83。

30年後にはEPSが5倍以上の差をつけるわけですから、
PERが同等であれば株価も5倍以上差がつくことになるわけです。

「ROEが高いまま持続するなんてあり得なくない?」という疑問もわきそうですが、


これを見るとあり得ない事もないことがわかります。

ここ30年を振り返ると日本は6%あたりをうろうろし、アメリカは12-3%程度をうろうろしてます。


とまぁこんな感じで、PER、配当利回りの観点からはとても割安とは言えず、
ROEが低いことから将来性の面でもあまり期待はできないです。
(あくまで市場全体を見ると)



続いてまったく別の視点から。

これまで割安かどうかという観点から見てきましたが、
割安であるかどうか、というのは「これから上がるかどうか」というのとは直結してないので、
「もう割高だから」というのは今後株価が上がるかどうかにはあまり意味のない発言です。
(「損を回避するため」という観点からは意味のある言葉であるとは信じてますが)

じゃあ今後株価が上がるかどうかを占う上で重要なことは何かと考えると、
まぁ単純な話で、全体の株価が上がるってことは全体の時価総額が増えるってこと。
全体の時価総額が増えるってことは市場に流入する金額が増えるってこと。
(直接現金が入ってくるのでも、レバレッジが大きくなるのでもどちらでもよい)

なので、投資に回って来うる資金余力がどれくらいあるか、
そしてその資金余力が現在の時価総額(現在すでに入っている資金総額)に対して
どれくらいのインパクトをもっているかってのが重要になります。


その辺の観点からデータを見てみます。


2013年4月時点での日本株の時価総額は2.9兆ドル。
ざっと300兆円ほどです。

世界No.1は当然アメリカで、時価総額15.1兆ドル。
ざっと1500兆円ほど。


これが現在の時価総額、つまり市場に流れ込んでる資金です。
(レバレッジで膨らんでる部分も含むので、純粋に投下された資金とイコールではないが)


続いて、この額に対し、今後流れて来うる投資額がどれくらいのインパクトを持ちうるか、
というところを見ていきます。

とはいえ、さすがにこれは難しい。

投資主体としては、つまり資金が流れてくる元としては、
個人、法人、外国人がメインになります。
日本株が数ある投資先の一つでしかない外国人の動向を読むのは相当に難しいので、
最も読みやすく、かつインパクトの大きな投資主体として、個人投資家に目を向けてみます。

つまり、現在個人はどれくらいのお金を持っていて、どれくらいを株式に振り分けているか。
んで、欧米並みの株式投資比率を投資余力として、その額がどれくらい現状の株式市場に
インパクトを持つか、ってことをざっくりと計算してみました。



まず、両国(および英独)の個人の金融資産を見てみるとこんな感じ。


日本の個人金融資産は1500兆円ほど(2011年末時点)。

一方アメリカは3758兆円。
1ドル77円で計算されているので、現在(2013年6月)の為替で換算すると4500兆円ほど。

この個人金融資産のうち、どれくらいが株式に向けられているか見てみると、
日本はわずか5.7%。
アメリカは31.6%。

金額にすると、日本は85兆円ほど。アメリカは1422兆円(現在の為替換算で)ほど。

もう一回両国の株式時価総額を見てみましょう。

日本は300兆円ほど。アメリカは1500兆円ほど。

もちろん1422兆円のすべてが国内の上場株式に投資されているわけではありませんが、
アメリカの株式市場における個人投資家の割合は日本よりもずっと高いです。


個人投資家が4割弱で保有主体としてはトップ。

投信も合わせると6割弱にもなります。

(アメリカ人でも個別株式を購入する方より投信を購入する方のが多いようです。)


一方日本はというと、85兆円ほどしか株式にお金が回っていないことからもわかるとおり、
保有主体としての個人投資家のシェアは20%弱です。


300兆円の20%で60兆円というところなので、国内上場企業の株に投資されている額としては
まぁ実際そんなものなのでしょう。


さてこれが現状なのですが、ここからは想定のお話。

もし仮に日本の個人金融資産のうち、株式の比率がアメリカほど(30%強)とはいわずとも、
英独なみ(10%程度)になったらどうなるか。

1500兆円の10%なので150兆円。
現状より65兆円ほど増えます。

時価総額に対して2割強ですから、これだけで株価を2割以上押し上げるパワーになります。
(全額が国内上場株式に流れるとすると)

またもし仮にアメリカ並みの30%になったとしたら。

450兆円程度と現状より365兆円(!)程度新たに株式市場に流れ込むわけですから、
(全額が国内上場株式に流れるとすると)
株価は倍以上になるわけです。

まぁ実際こんなことが起きるかというと起きないでしょうが、
「余力」という観点からはこれくらいは十分あるんですよ、というところです。

こういう意味での余力なんて20年前からずっと同じだよ、って反論もありそうですが、
この余力が実際に株式市場に流れてくるかどうかを大きく左右するのは、
「日本人の意識」にあります。

「株は怖い、危険」という考えでは絶対に欧米並みの投資比率にはならないでしょう。

この考えが変わるためには何かキッカケが必要になるでしょうが、
今回のアベノミクスはそのキッカケとなりうるものではないかと思います。

株式市場の上昇に加え、インフレ期待。

今後は特にインフレ期待が形になって表れてくることが重要かと思います。

あとは株式投資に対する知識不足、アレルギーもあるでしょうから、
微力ながら自分もマンガで少しは貢献していきたいですね。



さてさて、長々と暇潰しにデータをいじった結果を述べてきましたが、結論としては、
日本株はもう割安ではないが上昇余地はまだまだあるから、
それを踏まえて方針を考えよう、ってとこですね。

~売買記録~
本日含め今週一週間で先月末に一旦手放したサンライフとウェッズを購入。
買い:売りは4:3くらいで、買い越し額は総資産の15%弱くらい。
ということで、CPは気持ち的には85%以上と、まだまだ逃げ腰です。


暇潰しにお付き合いいただきありがとうございました。

投資は自己判断で・・・。

1 件のコメント:

  1. こんにちは、19歳の大学生です。ブログ拝見させていただいています。自分も日本の個人投資家の少なさを危惧しています。
    この現状を打破するための事業(投資を普及させる)ができないかなと思ったりしています。長文失礼しました。

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