この記事の続きです。
1件目の審理の案件でまんまとじいさんに罠にひっかかり人間不信気味の私ですが、
続いて「判決」の案件を2つ連続で見ます。
ともに罪名は「覚せい剤取締法違反(+α)」でした。
1件目は男性被疑者。
ヤクザ風な怖ーいお兄ちゃんが来るかと思っていたのですが、
警官に伴われ入廷してきたのは40代前半と思しき紳士。
髪型も服装もきちんとしており、結構なイケメンです。
弁護士、検察官と並んでも違和感のない気品も醸しだしています。
人は見かけによらないとはまさにこのことです。
さて、裁判官も入廷し、起立・礼の後いよいよ開廷となりました。
本件は「判決」案件なので、開廷後弁護士、検察官がちょこっと発言すると、
すぐに判決の言い渡しとなりました。
「主文:被告人を~~に処する。」
ドラマでは見たことがありましたが、実際に法廷で見ると緊張感があります。
主文を述べた後、わかりやすい言葉で裁判官が被告人に判決内容を説明します。
その後、判決の理由を述べて、計7,8分というところで終了。
・・・と思いきや、まだ続きが。
判決を述べ終わった後、判決文を手元に置き、裁判官が被告人に直接語りかけ始めました。
この語りが何とも・・・。
判決しか聞いていない以上事件の詳細や背景はわからないのですが、
どうやら事故か何かで奥さんや息子さんを失ってしまったようです。
それで覚醒剤に逃げてしまったと。
それを踏まえた上での裁判官の語りがありました。
これは文字では伝わらないですね。
場の雰囲気、被告人の様子、そして何よりも裁判官の語りかけ方。
裁判官は一度も下に目を落とさず、じっと被告人を見つめたまま語りかけていました。
本当に暖かい、お父さんのような、包み込むような、そんな話し方でした。
裁判というのは単に罪を裁く場であるだけではないんですね。
もっと事務的な場かと思っていました。
事件の詳細を知らなくてもうるっときてしまったくらいですから、
もし経過も見ていて詳細を知っていたら・・・。
続いてもう1件の判決案件を見に行きましたが、こちらも裁判官のお言葉が良かった。
自分の1個上の女性(見た目は私より7,8個上に見えました)が被告人でした。
こちらはあまり同情の余地はなく、まだやんちゃしちゃってるだけ、って感じでしたが、
それでも裁判官のお言葉にはジーンときちゃいましたね。
判決案件、聞けてよかったです。
両方とも10分程度の短い時間でしたが、この2つのだけでも十分来た甲斐がありました。
「感動して泣けるからよかったー」という訳ではなく、
「心を動かされることにより考えるきっかけになった」ことがよかったですね。
また、もし自分が被告人のような立場に立ったらどのように行動するか。
本当に自分がその立場に立っても犯罪を犯さないでいられるか。
そんなことをお昼休みの間ぼんやりと考えてました。
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