2012年2月26日日曜日

銘柄紹介、その前に~調剤薬局編~part4

トータルメディカルと札幌臨床の紹介をしようかと思いましたが、
その前に一つだけ。

調剤薬局業界というのは株に興味がある方や薬剤師さん以外は
あまり馴染みがないと思いますので、
どんな会社があるのか主なところを紹介していきましょう。

下記の表に示されているのが主な上場調剤薬局企業です。


データはYahoo!ファイナンスhttp://finance.yahoo.co.jp/
およびmsnマネーhttp://money.jp.msn.com/から拾ってきています。
2012/2/24の終値の株価にて各指標は算出されてます。

業界トップのアインファーマシーズを除くと、
いずれもPERは一桁です。
ここのところの株高で多少上がってもこれですから、
やはり調剤薬局業界は安いですね。

では、各社の成長を追ってみましょう。
下記は直近5年間のEPSを示しています。
2007年度のEPSを100として算出しています。

(msnマネーより)

各社、順調にEPSを伸ばしているのがわかりますね。

続いて、店舗数を見てみましょう。

各社のHPや決算報告書等の情報を基に作成。

上位の方はすごい伸ばしていますね。

一方メディカル一光、トータルメディカル、札幌臨床は
かなり地味です。


さて、色々なデータを見てきました。
一口に調剤薬局の会社といっても、
各社戦略は様々なようです。

調剤薬局なんて、正直なところブランド力は不要です。
どこの薬局でも薬の値段は変わりませんし。
「病院の前にメディカル一光の調剤薬局があるけど、
ちょっと歩いたところにある業界トップのアインファーマシーズに行こう」
なんて人はまずいないでしょう。


ということは、調剤薬局の株を買う際に見るべきところは、
単純に経営戦略なんでしょうね。

イケイケドンドン派か、石橋コツコツ派か。

私は後者の企業が好きなので、
トータルメディカルと札幌臨床を持ってます。
(メディカル一光はもう少し安くなったら手を出すかもです。)

では、次回こそ本当にトータルメディカルと札幌臨床の紹介に入ると思います。

2012年2月19日日曜日

銘柄紹介、その前に~調剤薬局編~part3

さて、前回の投稿から、
・薬価差は依然として大きいようだ
・薬価差益が収益に大きな影響を及ぼしているようだ
ということがわかりました。

ただ、正直、上記分析が正しいかいまいち自信がありません。
ということで、もう少し上記を考えて見ましょう。

薬価差が大きい=安く買っているということです。

ということは、医薬品の卸会社は安く買い叩かれているわけです。
医薬品の流通はメーカー⇒卸⇒薬局であることを考えると、
薬局が安く買い叩いているツケは卸かメーカーに回るはずです。

まずメーカーについて調べてみましたが、
既存薬の売り上げについてはしっかり伸びており、
利益も問題なく出ているようです。
(いわゆる2010年問題で、会社全体としては下げてますが。)

では卸はどうでしょう。

下記に医薬品卸の大手3社の2011年度の決算を載せてみました。

メディパルホールディングス


アルフレッサホールディングス

スズケン

ひどいですねぇ。

スズケンにいたっては、

営業損失を出し、価格交渉がうまくいかないと泣きが入っています。

現状どのようなことが起こっているかというと、
薬の納入価格が卸と薬局側とでなかなか折り合わないため、
取引価格を決めないまま仮納入し、後で価格を決めているようです。

特に大手チェーン薬局でその傾向が強いようで、
価格交渉がかなり激しく行われているようです。

一方で、国は「早く決めろ!」と強く苦言を呈しているため、
泣く泣く卸が安値で仕入れている、といった感じでしょうか。


といった感じで、やはり薬価差はあるようで、
そのツケは卸が払っているようです。

なんとなく調剤薬局業界の背景がわかってきたところで、
今日は終わりにします。
次回からようやく、トータルメディカルと札幌臨床の個別の話です。

2012年2月14日火曜日

銘柄紹介、その前に~調剤薬局編~part2

前回の続きです。

前回の投稿では、
・調剤薬局業界のパイがここ20年で劇的に大きくなったこと
・ここ数年は業界の伸びは鈍化し、大手への集約が進んでいること
を紹介しました。

今回は調剤薬局業界の儲けの仕組みについて紹介したいと思います。
この業界は「小売業」に属するのですが、
他の小売業とは大きく違う点が一つあります。

それは、「売値が国によって決められている」ことです。

よって、安く買って「高く売る」という、選択肢は取れません。
また、「安く売る」ことで同業他社と競争することも出来ません。

いわゆる小売業では常識的なことが、この業界ではできないわけです。

そもそもこの業界が誕生した理由には「薬価差益をなくす」ためという政治的背景があります。
(詳しくはhttp://www.urban.ne.jp/home/haruki3/iyaku.html等をご覧ください)

つまり、薬で儲けるんじゃないよ、調剤費のような技術料で儲けなさいよ、ということです。

これが業界誕生の背景なのですが、実際はどうなのでしょう。

下記レポートのように、調剤薬局の収益は技術料がメインだとする報告もあります。
http://www.marketech.jp/Iyakuhin_Marketing_26.pdf

しかし、調べてみると。。。

メディカル一光にわかりやすい資料がありました。
http://www.m-ikkou.co.jp/ir/library/info/2012.html

ここでは薬剤料(薬の売り上げ)と材料費(薬の仕入れ費と思われる)
がしっかり記載されています。

適当にグラフにしてみると、下記のようになります。

(薬価差=薬材料-材料費としています)

結構あるんですね~。
特に2010年、11年は大きいですね。

では、この薬価差は利益にどれほど貢献しているのでしょう。

おぉ、見事に薬価差と調剤部門の売上総利益が連動していますねぇ。
やっぱりここが収益に貢献しているのでしょうね。

まとめとしては、
・薬価差は10%程度あるようだ
・薬価差は利益にかなり貢献しているようだ
といったところでしょうか。

長くなりましたので続きは次回に。



トータルメディカル、下がりましたね~。
下方修正に反応したんでしょうが、
今期買収した数字がフル寄与する来期を考えれば安すぎますね。
信用で買い増ししました。
(来月まとまった額を入金するので、その際現引きします)
買値は平均1311円になりました。

2012年2月11日土曜日

銘柄紹介、その前に~調剤薬局編~part1

今回から何回かに分けて、銘柄紹介をしたいと思います。
前回メディサイエンスプラニングおよび治験ビジネスの紹介をしましたが、
今回は調剤薬局の紹介をしたいと思います。

調剤薬局の株はどれも絶好調にも関わらず、
かなり安値で放置されていますよね。
自分も調剤薬局関連銘柄としては、

【3163】トータルメディカルサービス@1316円
【3170】アイセイ薬局@3664円
【9776】札幌臨床検査センター@492円

を保有しています。

この業界、とにかくどこの株も安い、ということから、
まずは調剤薬局業界について理解する必要があるでしょう。


では、始めましょう。

まず1つ目の疑問。
なぜこの業界はこんなに絶好調なのでしょうか。
ただ薬を売っている小売業界のはずなのに。。。

その答えは「医薬分業」という言葉で説明できます。


「医薬分業」を詳しく知りたい方は、下記サイトが参考になるかと思います。


上記のグラフを見ていただければわかるとおり、
1990年頃は、医薬分業率は10%程度だったのです。
まだまだ調剤薬局は珍しい存在だったわけですね。

それがここ20年程度で一気に状況が変わり、
ついには医薬分業率は60%を超えるに至ったわけです。
薬局調剤医療費も、ここ20年で0.6兆円弱から
5.4兆円にまで膨れ上がりました。

つまり、調剤薬局業界はここ20年で市場規模は10倍ほど膨れ上がる、
超成長産業だったわけです。

さすがに2007年くらいからは市場の伸びは鈍化しましたが、
それに伴い大手への集約がどんどん進んでいます。

初期は経営の「け」の字も知らない薬剤師が経営する個人商店が多かったのですが、
最近ではM&Aが非常に盛んで、アインファーマシーズ、日本調剤、総合メディカル
といった巨人が生まれつつあります。
(私の大好きな、「素人がやっても成り立つ業界にプロが参入してきた」という状況です。)
(M&A業界動向はhttp://www.strike.co.jp/matrend/pharmacy.htmlが詳しいです。)

まとめてみると、
・ここ20年でパイが劇的に大きくなった。
・ここ数年はパイの成長が鈍化し、大手への集約化が行われている。

といったところでしょうか。

んー、やはり長くなりそうですね。
続きは次回へ。

2012年2月7日火曜日

長期間投資=長期投資?

ちょっとしたことですが、ブログランキングのカテゴリーを「長期投資」に変更しました。

それに伴い、「長期投資とは何ぞや」ということで少し考えました。
ただ長期間ほったらかしで持っていれば長期投資なんでしょうか。
(長期間投資=長期投資なんでしょうか。)
ちょっと自分の考えを述べてみます。


投資が長期間になるか短期間になるかは、売却のタイミングによります。
では、
①長期間ほったらかした結果、売却のタイミングが遅くなり、長期間投資となった。
②長期間保有を前提に購入したが、株価や業績の推移から売却が早くなり、短期間投資となった。

というような場合、①を長期投資、②を短期投資と呼ぶのでしょうか。

少なくとも自分は違うと思います。

長期投資とは、「長期目線で株式を売買すること」であり、
ほったらかして「結果的に」長期間保有をすることとは違うものと思います。
つまり、「売却の基準」が長期目線か短期目線かによって、
長期投資・短期投資の分類できるのではないかと思います。

さて、翻って自分の売却の基準ですが、以下の2つの基準いずれかに合致した場合に
売却するように決めています。

①最新の決算情報と照らし合わせ、株価が適正と判定できるようになった場合
⇒株価上昇による適正化パターンと、業績悪化による適正化パターンの2つがあります。

②より魅力的な株が他にある場合

上記2つのいずれかに合致しない限りいくらでも、どんなに長期になっても保有し続けます。
逆に、合致すれば、(ほぼありえない話ですが)2-3日で売却することもあるでしょう。
よって、自分の投資期間は長期間であったり短期間であったりまちまちではありますが、
目線は長期なので長期投資家を自称しようと思います。



あ、ついったーでつぶやきましたが、札幌臨床検査センター、
@500でちびっと買い増しました。
徐々に買値平均が上がっちゃってますが、まだまだ安い。
もうキャッシュは空っぽなので、買い増しは終わりですね。

2012年2月4日土曜日

銘柄紹介part2:メディサイエンスプラニング

さて、ようやくメディサイエンスプラニングの紹介です。

その前に、大分時間が空いたのでおさらい。
EPSの資料にわかりやすいものがありました。

【CROとSMOの違い】


医療機関の仕事を下請けするのがSMO、
製薬会社の仕事を下請けするのがCROでしたね。

【CROマーケット】


まだ伸び盛りです。

さてさて、日本のCRO業界をみてみましょう。
現在、決算情報が見れる中で上位なのは下記4社です。

【4282】イーピーエス
【2309】シミックホールディングス
【2182】メディサイエンスプラニング
【4326】インテージ(CRO事業は子会社のアスクレップ)


それぞれの売り上げ比較、営業利益比較は下記のグラフです。
(数分で適当に作ったものなので、見にくくて恐縮ですが)




売り上げを見ると、シミック、EPSは頭打ちしている感がありますが、
一方メディサイエンスプラニングとインテージは順調に伸びています。

また、営業利益を見てみると、
上位2社と下位2社では営業利益率に大きく開きがあるようです。

「絞った雑巾」ではないですが、下位2社のほうが伸び白はたくさんある、
とプラス思考でとることもできそうですね。

インテージ子会社のアスクレップが単独上場されると面白いですが、
現時点では、割安度、伸び白の大きさ等から、
CRO業界ではメディサイエンスプラニングが買いではないかと考えています。
(もう大分上がってしまいましたが。。)

続いて各種指標を見ていきましょう。
なお、株価等は本日時点での情報です。

株価:1,290
PER:9.09
PBR:2.13
ROE:25.82

一株あたり純利益(前期):141.92円
一株あたり純利益(今期予想):148.21円
一株あたり純資産:
605.01
配当(前期):30円
配当(今期予想):30円

PERからは今の相場環境では「激安」というほどではないですが、
十分安いと思います。
また、今期は第一四半期の業績がすこぶるよいです。
PBRは高めですが、BPSは毎年順調に、かつかなりのスピードで増加していますので、
それほど気にする必要はないかと。

現在@876円で保有しております。