2024年4月15日月曜日

「セルインメイ(Sell in May)は現代日本でも成り立つ」とは言えない

先日のPostでアノマリーについて検討しました。
以下の図からわかるとおり、「4月と11月が強く、1月と8月が弱い」が結論でした。
2013年以降の日経平均株価の月別平均変化率(%)

さて、改めてよく見てみると、5月は+2.18%であることに気付きました。よくセルインメイ(Sell in May)と言われますが、少なくともこの10年を振り返ると5月はむしろ強いように見えます。日本ではそもそもSell in Mayは成立していないのか、それともこの10年だけは特殊だったのか、少し探ってみることにします。
この10年間を振り返ると、5月は+が8回、-が2回と、勝率は8割でした。最大のプラスは2020年で+8.3%、最大のマイナスは2019年で-7.4%でした。
これだけみると、日本ではむしろBuy in Mayのが適切に見えてしまいます。とはいえ、2014年から2023年という10年間は日経平均株価が2倍以上上昇した特殊な時期ですので、もう少し期間を広げてみたいと思います。あまりに昔に遡っても仕方がないので、21世紀に絞り、2001年から2023年の23年間を振り返ってみます。
結果は以下のとおりです。
日経平均株価の暴騰率(4月末日の終値〜5月末日の終値までの変化率)
5月は+が14回、-が9回で、暴騰率は+0.3%でした。勝率は6割以上ですし暴騰率もわずかとはいえ+であることを踏まえると、21世紀を対象として考えても、少なくとも「Sell in May」が成立しているとは言い難いです。
ただ、勝率の割に暴騰率が低めであることからわかるとおり、「マイナスになった場合のマイナス幅は大きめ」ということは言えるかもしれません。実際、暴騰率の絶対値で見ると、上位3つはいずれもマイナスになります(2010年、2012年、2006年)。
以上より、5月の日経平均株価の動きは以下のようにまとめることができます。
  • ここ10年に限ると、Sell in MayではなくBuy in Mayである
  • 21世紀(2001年〜2023年)に対象を広げても、勝率・暴騰率ともに5月はpositiveであり、「セルインメイ(Sell in May)は現代日本でも成り立つ」とは言えない
    • ただし、マイナスになった場合の下げ幅は少し大きい傾向がある

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