2024年株主提案第2弾は1967_株式会社ヤマトです。
株主提案日:不明
株主提案受領発表日:見解発表日同日
会社見解表明日:2024/5/15
株主総会日:2024/6/18
提案者:サンシャインE号投資事業組合
株主提案内容:剰余金処分の件
今回の提案はシンプルに剰余金処分の件(配当提案)のみ。
当社は2022年3月期及び2023年3月期における配当額及び配当性向はそれぞれ25円(23.3%)及び25円(31.3%)でした。本株主提案は、2024年3月期の配当総額を100円にせよ、という内容になっています。本提案が出された時点では、2024年3月期の予想EPSは79.26円(実績は58.65円)でしたから、配当性向を100%以上にせよというものです。
主張のポイントは「PBR1倍割れ解消」です。
提案者はPBR1倍割れ解消のためこれまで当社と議論を繰り返し行ったようですが、満足のいく結果が得られなかったことから本提案を行ったようです。
提案者が指摘する当社の問題点は以下の通りです。
- PBR1倍という目標が設定されていない
- 2023年12月22日付けで当社より「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」と題するリリースが発出されたが、PBR1倍という目標が掲げられていない
- 政策保有株式への対応
- 上記リリース内で「政策保有株式の対純資産比率を19.2%から18%まで縮減すること」を目標として掲げているが、わずか約 1.2%の縮減は「目標」と評価できる水準とはいえず、当社の取り組みは不十分である
- 「取締役会で定期的に、個別の政策保有上場株式について、保有に伴う便益・ リスクが資本コストに見合っているか、保有の必要性を検証し、その検証内容について開示を行う。」としているが、当社は、「保有の必要性」と「検証内容」について、具体的な開示は行っていない
- 請求人が繰り返し、政策保有株式の売却を含む施策の検討及び実施を要請しているにもかかわらず、政策保有株式の削減を事実上行わない意思を現経営陣が示している
- 自己株式取得方針
- 2023年3月11日付けで自己株式取得を行う旨公表したが、市場流動性の低い当社株式についてこれ以上の自己株式取得を進めることは、市場評価の改善に効果的に働くとは考えられない
- 自己株式取得が市場評価の改善に効果的でないことについて繰り返し伝え、PBR1倍を達成するためにはどうすべきか議論してきたが、請求人の意図が全く伝わっていない
- 過剰な自己資本
- 当社の自己資本比率は、70.6%となっており、極めて高い水準にある
- 人的資本への投資及び設備投資などを積極的に行い、企業価値を増大させていく施策を行っていくべきである
以上の問題点を踏まえ、提案者は以下のように「具体的な対応策」をまとめています。
具体的な対応策:以下5点を総合的に勘案し、今期の配当を当社の DOE(株主資本配当率)7%相当額を踏まえた額である1株当たり100 円とする。
①資本コスト・資本収益性を十分に意識した経営資源の配分を行うため、まずは PBR1倍を達成すべき
②政策保有株式を売却して株主還元策に回すことが適当
③過剰な自己資本を見直すべきであり、 これ以上の資本の積み上げは不要
④当社の今期における1株当たり利益は 79.26 銭と予想されている(⇦「79円26銭」の誤記)
⑤ 2024 年3月期第3四半期における1株当たり純資産は 1,399.10 銭と予想されている(⇦「1,399円10銭」の誤記)
- 直近5年間の1株当たり配当額は増配を続け、利益還元の強化を着実に進めている
- 今期はさらに1株当たり配当額27.00 円への増配を定時株主総会に付議する予定
- 来期の配当は35.00 円と増配を予想している
- 重要な株主還元策の一つとして自己株式の取得も検討・実施している
- 自己株式取得は効果的ではない、という株主提案に対する回答はなし
- 政策保有株式は今後も継続的に見直しを図る予定であり、2023 年3月期は7銘柄、746,381 千円、2024 年 3月期は13 銘柄、854,255 千円削減しており、今後も適宜縮減予定
- これまで必要な投資を計画・実施しつつ、事業成長と収益性の向上と財務戦略及び資本戦略の強化に努めてきた
- 株主提案の配当額は2024年3月期の1株当たり当期純利益58.65円を上回る過大なもの である。投資と財務基盤の充実を図りながら適正な利益還元に努めていくという基本方針にそぐわず、当社の中長期的な企業価値向上、株主共同の利益に繋がらない
昨日のコメリの会社回答に比べるとしっかりした内容になっています。ただ、「自己株式取得は効果的ではない」「PBR1倍が目標として掲げられていない」「自己資本比率が高すぎる」という提案株主が指摘している問題点を悉く無視しているので、コミュニケーションがうまくいっているように思えません。
このように議論は若干すれ違ったまま株主総会を迎え、結局本提案は反対割合82.436%で否決されました。
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