2024年6月28日金曜日

2024年6月のパフォーマンス

2024年6月のパフォーマンス

月次:+1.5%(日経平均:+2.8%)

年次:+66.2%(日経平均:+18.3%)

先月末の時点ではKPP>三菱製紙>>ソマール、フコク>ジェイ・エス・ビーとたくさんの銘柄を持っていましたが、今月はKPPとジェイ・エス・ビー以外は全て利確しました。
特に三菱製紙はポジションも大きかったこともあり、利確に伴う税金(源泉徴収)の影響が大きく月次の+はごくわずかとなりました。

現在のポジションはKPP>>>ジェイ・エス・ビーと2銘柄のみ。
信用はゼロで、キャッシュも少し残しています。



2024年6月27日木曜日

2024年株主提案研究 File 04 KPPグループホールディングス

2024年株主提案第4弾は9274_KPPグループホールディングスです。

当社は私の主力銘柄ということもあり本日の株主総会はオンラインで参加していましたので、株主総会で気になったコメントも含めて紹介します。

まずは当社の株主提案の内容から。

KPPグループホールディングスの株主提案

株主提案日:2024/4/11
株主提案受領発表日:見解発表日同日
会社見解表明日:2024/5/14
株主総会日:2024/6/27
提案者:個人株主
株主提案内容:剰余金処分の件
総還元性向[100×(配当金支払額+自社株式取得による支出)÷当期純利益]100%を企図した議案になっています。当社はすでに2024年3月期において中間配当と自社株買いを行っているので、当期純利益から中間配当及び自社株買いに要した金額を控除した残りを全部期末配当にせよ、という提案です。

提案の理由は以下の通り。

  • 東証通知を受け「PBR1 倍超えを目指す」旨の宣言(2023 年 3 月期決算説明会、2023 年 6 月 7 日)があったが、通知発出日より今の方がPBRが低くなっている
  • この1年で日経平均株価は44%も上がる絶好の相場だったのに当社の株価10%しか上がらなかった一方、BPSは20%以上増加したためPBRは低下した
  • 絶好の相場なのにPBRが改善しなかったことから、株価を頼りにPBR上昇を目指すのは現実的ではない
  • 純資産の圧縮に抵抗があることは理解するからせめてBPSをこれ以上積み増さないよう、配当性向100%とせよ

本提案に対し会社は当然反対しましたが、その理由は以下の通り。

  • 当社は、東証が指摘する資本コストを上回る収益を上げており、株価が十分に上昇していないのは、成長投資が今後も必要という市場からのメッセージと理解している
  • 次年度以降も成長投資へのキャッシュフローアロケーションを実行する方針に変更はない
  • 当期は配当金と自社株買いと合わせると総還元性向は 34.4%と十分
「東証が指摘する資本コストを上回る収益を上げており、株価が十分に上昇していないのは、成長投資が今後も必要という市場からのメッセージと理解している」がわかりにくいかもしれませんが、おそらく東証の通知の下記を参照されたのだと推測します。


当社は資本コストを上回る収益を上げている(下記参照、当期決算説明会資料より抜粋)ので、東証の通知によると、株価が十分に上昇していない理由は「成長性が投資者から十分に評価されていない」ためだ、という説明です。
若干言葉遊びっぽくなっていますが、まぁ一応回答としては成り立っているように思います。
提案者は提案文の中で散々東証の通知を引用していたので、逆に首を絞めてしまった感じでしょうか。

とはいえ、当社も今回このような理由付けをしたわけですから、今後業績が低迷して収益が資本コストを下回った場合、今度は会社側が首を絞められる番でしょう。


また、会社の回答において「次年度以降も成長投資」する旨の記載がありましたが、具体性に乏しく説得力に欠けていました。

その点について、本日の総会で田辺会長より以下のように結構具体的なコメントがありました。
田辺会長:インサイダーにも関わるので具体的なことは言えないが、今までは全部パッケージ形とビジュアルコミュニケーション系の会社だけだったが、M&Aのターゲットが少し変わってくるかもしれない。国内事業として回収事業があるが、今後は紙だけではなくペットボトルやスチール缶を含めた総合的な回収事業へともう少し幅を広げていく。投資する金額についても今後考える。

株主総会での上記発言も含めると、会社の反対意見も一定程度理解ができるものと思います。
総会では当然のごとく、株主提案は否決されました。

上記以外にも、株主総会では田辺会長から今後の戦略について色々と示唆がありました。
「紙パルプ業界にネガティブなイメージがあり、業績が株価にリンクしていない。当社は海外にシフトしていてまだまだ成長過程にある。紙パに対するイメージ払拭のための情報発信が足りていない。」とのコメントもありましたので、今後の情報発信にも期待です。

また、「当期は配当金と自社株買いと合わせると総還元性向は34.4%」との説明でしたが、2025年3月期は配当だけだと予想EPSベースで総還元性向18%程度です。
自社株買い、期待しています。

2024年6月26日水曜日

2024年株主提案研究 File 03 遠藤照明

2024年株主提案第3弾は6932_遠藤照明です。

遠藤照明は購入候補になりうる銘柄であるため、少し注目して見ていました。

遠藤照明の株主提案

株主提案日:不明

株主提案受領発表日:見解発表日同日

会社見解表明日:2024/5/21

株主総会日:2024/6/26

提案者:個人株主

株主提案内容:

①剰余金処分の件

今期実績EPSの1/3を配当金に回せという提案です。提案理由は以下の通り。

  • 過去5年間の配当性向は、平均値が16.9%、 最大値が23.1%、最小値が 10.0%と 2023年3月期決算の上場企業の平均配当性向約35%を大きく下回る水準で推移している
  • 低い配当性向を継続することは過大な手元資金の抱え込みにつながり、インフレによる価値の目減り、無理な資金運用による投資損失を招き余計な財務リスクを発生させる可能性がある
  • 当社は、コーポレー卜ガバナンスポリシーの「当社の資本政策及び株主還元」において「獲得した利益については、その3分の1ずつをそれ ぞれ、株主還元、従業員及び内部留保金に分配することを基本方針とする。」と記載している
    • 自らが定めて外部関係者に宣明した基本方針を特段の理由なく長期間にわた って遵守しないことは、当社がコーポレー卜・ガバナンスを重要視していないとの印象 を関係者各位に与えかねない行為であり、早急に配当性向の適正化を実施すべきと考える

②自己株式取得の件

1年以内に、取得価額の総額 1,600 百万円を限度として金銭の交付をもって当社普通株式を取得することを提案しています。

今期の実績純利益は4,649百万円なので、①の提案と合わせると総還元利回りは70%弱となります。提案理由は以下の通りです。

  • 適切な自己資本比率を維持し WACC を妥当な水準に保つことで、有効な財務リスク管理と中長期的な企業価値向上を両立することができるとの考えに基づいた提案である
    • 中長期的な自己資本比率の目標値を 50%において安定的に資本政策を運営することで中長期的な企業価値の向上を図ろうとするものである
  • 単発の自己株式の取得ではなく、明確な資本政策にもとづく継続的な自己株式の取得が当社の中 長期的な企業価値向上に資すると考えて提案する
  • 過大な自己資本を確保することは、WACCの上昇により企業価値を引き下げる効果を持つのは、コーポレー卜ファイナンス理論の教示するところである
  • 当社の自己資本比率は、2019年3月期から2023年3月期の5年間に41.3%から55.0%へと着実に上昇している
    • コロナ禍の数年間を含め一度も営業赤字に陥ることがない安定度の高い事業運営となっており、自己資本比率50%を目標として資本政策を実施することは、 十分に保守的な財務運営であると考える

③定款一部変更の件(取締役の人気の短縮)

取締役の任期を2年から1年に変更することを提案しています。提案理由は以下の通り。

  • 東証上場会社コーポレート・ガバ ナンス白書 2023によると、定款上の取締役の任期1年の会社 の割合が 2014 年 56.9%より2年ごとの調査の度に増加して 2022 年には 65.2%となり、 全体の2/3を占める
  • 世界的な議決権行使助言会社であるISSは、「原則として賛成を推奨する」と2024年度版日本向け議決権行使助言基準に記載しており、 近い将来、大多数の上場企業が取締役の任期を1年とするものと考える
  • 取締役任期短縮は、コーポレート・ガバナンスコードへの対応が単なるお題目としてではなく、経営の機動性、取締役会の監督機能の強化を目指す実効性のあるものであるとのメッセージを発信する効果があ
以上が提案内容です。

個人株主からの提案ですが、たんなる個人とは思えないほど勉強されています。ファイナンスの知識に加え当社の方針等もきちんと理解していると思われます。

特に提案①はとても説得力のある内容となっており、会社の反論が気になります。

さて、その気になる会社の反論は以下の通り。

まず提案①については反対で、その理由として以下のように説明されています。

  • 利益の最大化が経営目標。獲得した利益で財務体質と経営基盤の強化を図るとともに、 安定的な配当の維持及び適正な利益還元を行うことが基本的な考え方である
  • 当期純利益の3分の1に相当する配当は、物価上昇及び為替変動リスク等のある経営環境の中、今後高い成長の見込まれる海外事業拡大を含めた中長期的な成長の実現に支障をきたす恐れがある
    • 中国の製造子会社である昆山恩都照明有限公司は設立 20 年を経過し再投資の時期に来ており、生産能力増強に向けた成長投資を検討開始しており、また英国 ANSELL 社においてもさらなる成長の為、欧州域内での販売拡大に向けた成長投資を検討している
  • 将来に亘っての安定した株主還元を困難とする懸念を生じさせる
よくある回答に終始するのかと思いましたが、海外事業への投資計画はある程度具体的に記載されています。「純利益1/3」だとなぜダメなのかの説明は不十分で説得力に少しかけますが、可能な限り説明しようという気持ちは感じられます。

提案②については、自己株式取得の重要性は理解しているが、「当社株式の取引状況及び株価を踏まえながら、将来の成長に向けた投資とのバラ ンスを考慮した上で、適切な時期に行うべき」とのこと。「今じゃない」というのが会社の解答ですね。

③については、「株主提案と同一の内容を会社提案として提出する。提案理由は違うけどね。」とのこと。

したがって本提案は、「取締役の経営責任を明確にし、経営環境の変化に迅速に対応できる経営体制を構築するた め、取締役の任期を2年から1年に短縮する」という会社提案・株主提案という扱いに変わりました

「株主提案に賛成」というものを見てみたかったですが、これはこれで良い対応だと思いました。

さて、6/26に行われた株主総会での決議結果は以下の通りでした。

株主提案①、②→否決

株主提案③→(会社提案・株主提案として)承認可決

決議通知


結果は残念でしたが、とても勉強になる株主提案でした。

会社の主張する海外事業拡大が実際に実施されるかどうか、しっかり見ていきたいと思います。

2024年6月24日月曜日

2024年株主提案研究 File 02 ヤマト

 

2024年株主提案第2弾は1967_株式会社ヤマトです。

株式会社ヤマトの株主提案

株主提案日:不明

株主提案受領発表日:見解発表日同日

会社見解表明日:2024/5/15

株主総会日:2024/6/18

提案者:サンシャインE号投資事業組合

株主提案内容:剰余金処分の件


今回の提案はシンプルに剰余金処分の件(配当提案)のみ。

当社は2022年3月期及び2023年3月期における配当額及び配当性向はそれぞれ25円(23.3%)及び25円(31.3%)でした。本株主提案は、2024年3月期の配当総額を100円にせよ、という内容になっています。本提案が出された時点では、2024年3月期の予想EPSは79.26円(実績は58.65円)でしたから、配当性向を100%以上にせよというものです。

主張のポイントは「PBR1倍割れ解消」です。

提案者はPBR1倍割れ解消のためこれまで当社と議論を繰り返し行ったようですが、満足のいく結果が得られなかったことから本提案を行ったようです。

提案者が指摘する当社の問題点は以下の通りです。

  • PBR1倍という目標が設定されていない
    • 2023年12月22日付けで当社より「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」と題するリリースが発出されたが、PBR1倍という目標が掲げられていない
  • 政策保有株式への対応
    • 上記リリース内で「政策保有株式の対純資産比率を19.2%から18%まで縮減すること」を目標として掲げているが、わずか約 1.2%の縮減は「目標」と評価できる水準とはいえず、当社の取り組みは不十分である
    • 「取締役会で定期的に、個別の政策保有上場株式について、保有に伴う便益・ リスクが資本コストに見合っているか、保有の必要性を検証し、その検証内容について開示を行う。」としているが、当社は、「保有の必要性」と「検証内容」について、具体的な開示は行っていない
    • 請求人が繰り返し、政策保有株式の売却を含む施策の検討及び実施を要請しているにもかかわらず、政策保有株式の削減を事実上行わない意思を現経営陣が示している
  • 自己株式取得方針
    • 2023年3月11日付けで自己株式取得を行う旨公表したが、市場流動性の低い当社株式についてこれ以上の自己株式取得を進めることは、市場評価の改善に効果的に働くとは考えられない
    • 自己株式取得が市場評価の改善に効果的でないことについて繰り返し伝え、PBR1倍を達成するためにはどうすべきか議論してきたが、請求人の意図が全く伝わっていない
  • 過剰な自己資本
    • 当社の自己資本比率は、70.6%となっており、極めて高い水準にある
    • 人的資本への投資及び設備投資などを積極的に行い、企業価値を増大させていく施策を行っていくべきである

以上の問題点を踏まえ、提案者は以下のように「具体的な対応策」をまとめています。

具体的な対応策:以下5点を総合的に勘案し、今期の配当を当社の DOE(株主資本配当率)7%相当額を踏まえた額である1株当たり100 円とする。

①資本コスト・資本収益性を十分に意識した経営資源の配分を行うため、まずは PBR1倍を達成すべき

②政策保有株式を売却して株主還元策に回すことが適当

③過剰な自己資本を見直すべきであり、 これ以上の資本の積み上げは不要

④当社の今期における1株当たり利益は 79.26 銭と予想されている(⇦「79円26銭」の誤記)

⑤ 2024 年3月期第3四半期における1株当たり純資産は 1,399.10 銭と予想されている(⇦「1,399円10銭」の誤記)


「さすが」と言わざるを得ない、とても理論立った提案だと思います。

これに対する会社の見解は以下の通り。
  • 直近5年間の1株当たり配当額は増配を続け、利益還元の強化を着実に進めている
  • 今期はさらに1株当たり配当額27.00 円への増配を定時株主総会に付議する予定
  • 来期の配当は35.00 円と増配を予想している
  • 重要な株主還元策の一つとして自己株式の取得も検討・実施している
    • 自己株式取得は効果的ではない、という株主提案に対する回答はなし
  • 政策保有株式は今後も継続的に見直しを図る予定であり、2023 年3月期は7銘柄、746,381 千円、2024 年 3月期は13 銘柄、854,255 千円削減しており、今後も適宜縮減予定
  • これまで必要な投資を計画・実施しつつ、事業成長と収益性の向上と財務戦略及び資本戦略の強化に努めてきた
  • 株主提案の配当額は2024年3月期の1株当たり当期純利益58.65円を上回る過大なもの である。投資と財務基盤の充実を図りながら適正な利益還元に努めていくという基本方針にそぐわず、当社の中長期的な企業価値向上、株主共同の利益に繋がらない

昨日のコメリの会社回答に比べるとしっかりした内容になっています。ただ、「自己株式取得は効果的ではない」「PBR1倍が目標として掲げられていない」「自己資本比率が高すぎる」という提案株主が指摘している問題点を悉く無視しているので、コミュニケーションがうまくいっているように思えません。

このように議論は若干すれ違ったまま株主総会を迎え、結局本提案は反対割合82.436%で否決されました。

2024年6月23日日曜日

2024年株主提案研究 File 01 コメリ

今年も活発に行われている株主提案。

株主総会もそろそろピークを迎えるので、いくつかの株主提案をピックアップし、提案内容の確認、総会決議結果、株価への影響等を見ていきたいと思います。

まずは8218_コメリ。

コメリの株主提案


株主提案日:2024/4/18

株主提案受領発表日:2024/4/23

会社見解表明日:2024/5/14

株主総会日:2024/6/21

提案者:NORTHERN TRUST CO.(AVFC) RE NVI01(代理人 日本バリュー・インベ スターズ株式会社)

株主提案内容:

定款一部変更(剰余金の配当等の決定機関)の件

定款上、剰余金の配当等は株主総会の決議によらず取締役会の決議で決めることができるようになっている(以下参照)が、これを「取締役会の決議によって定めることができる。」に変えろとの提案です。

当会社は、剰余金の配当等会社法第459条第1 項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定める。

②剰余金処分の件

上記①が承認可決されることを前提に、配当性向50%になるよう期末配当を支払えとの提案です。


①が一見分かりにくいですね。

定款のうち「剰余金の配当の決定機関」は、通常、「計算」という項に定義されています。

決定機関に関する記載は大きく以下の4つに分けることができます。

1. 株主総会の決議によって配当を行う

2. 取締役会の決議によって定めることができる

3. 取締役会の決議によって定める

4. 記載なし

4の場合は株主総会の決議によることになるので、実質は「株主総会で決める」「取締役会で決めることができる」「取締役会で決める」の3パターンと言っても良いです。

コメリは現状、例外なく取締役会で期末配当を決めることとなる「3. 取締役会で決める」のパターンなので、一つ緩い基準である「2. 取締役会で決めることができる」にしろ、との提案です。

提案理由は以下の通りです。

  • 過去4年における連結配当性向が10%台という極めて低い水準
  • 設備投資額はほぼ減価償却額と同水準
  • M&Aも過去10年以上実績がない
  • 結果、自己資本比率は10年前の45%から直近では65%を超える水準まで上昇
  • M&Aを含む将来の成長投資の可能性を理由に低水準の配当性向を維持しているが、成長投資案件がない場合には株主還元に振り向けるなど、柔軟なキャッシュアロケーションを行うべき
  • 株主が配当政策に関する上述のような意思表示を株主総会で行う権利を認めていない
  • 取締役会で配当額を決めることは可能ですが、株主も配当に関する株主提案を可能とし、どちらが望ましいかを株主が総会で決定できる様にすべき

ざっくりいうと、「成長投資を理由に配当性向を抑えているが、実際には全然使ってないじゃん。配当上げてよ。現状の定款だと配当に関する株主提案すらできないから、まずは定款を変えて株主も配当に関する提案ができるようにしようよ。」というところです。で、①が承認された場合は早速この総会で配当性向50%を意図した提案(提案②)をしているという形です。

定款変更の提案はとても真っ当な内容だと思いますが、それに対する会社側の回答は以下の通り。

「配当額を機動的に決定できるようにするため、・・・株主総会ではなく取締役会の決議により行えるようにしております。」

過去にもたくさん「配当決定機関変更」の株主提案はありましたが、回答はどこも同じで「機動的に決定」というところを理由にしています。株主としては機動的に決定してもらうメリットはかなり限定的なので、これは会社都合の理由と言ってもいいでしょうね。

上記お決まりの文言の後、コメリ側は色々「想い」を語り始めています。

  • これらの市場は流通構造が多段階で社会的 コストが非常に高く、お困りのお客様が非常に大勢いらっしゃいます。敢えて、この難しい分 野に挑戦し、世の中にご利益を提供するべく、中長期的な視点で取り組んでおります。
  • 上記の基本方針に従い、配当及び自己株式取得等の資本政策に係る事項は、当社グループの 企業理念である『コメリのねがい』 
    • 世の中の人々の幸せのために この仕事がありますように ここに集う人々の幸せのために この仕事がありますように この企業に縁ある人々の幸せのために この仕事がありますように
流石に「ねがい」を述べるのはご勘弁いただきたいが・・・。

その上で以下のように締めくくっています。

本株主提案は、当社グループの置かれている経営環境や事業特異性等が考慮されていない短期的な視点での提案であり、今後の当社グループの事業運営や資本政策の柔軟性や機動性が損なわれ、株主の皆さまにとってメリットがないと考えます。 

これは全くもって意味不明で、この定款変更がなぜ「短期的な視点での提案」なんですかね。そして株主にとってメリットがないだなんて、勝手なことを言わないでください。

先ほど配当決定機関に関する定款には4パターンあると記載しましたが、コメリのように株主からの提案を認めないパターンの定款は少数派です。

東証P企業に絞って現在全社の定款を調べようとしているところです。とりあえず会社コードが若い順に始めて165社調べ終わりましたが、コメリのように株主からの提案を認めないパターンの定款は18社(=10.9%)です。

コメリ的には、81%の会社の定款は短期的なんですかね。株主にとってメリットのない諦観なんですかね。

反対するのはいいですが、もう少しまともな理由を書きましょうよ、と。②への反対理由ならまだ分かりますが。この反対文を書いた人とは全く話が合わない気がしますし、この会社は自分にとって全く投資対象にはできないことがこの文書からもよく分かりました。

一方、提案②に対する反論は「自己株式の取得を3期連続でやっており、それと合わせた総還元成功は30%以上だ!」というものです。

株主提案に記載されている内容を踏まえると30%でも全然足りない、というところだと思いますが、会社としては50%だと「短期的な株主還元に着目」したものであり、「中長期的な当社グループの成長戦略のための成長基盤投資財源が損なわれ、当社グループの競争力を低下させる恐れがある」んですって。なんで30%はよくて50%はダメなんですかね。

その辺りの具体的な説明は全くないまま、ただただ反対しているだけにしか見えません。

このようによくわからない会社見解でしたが、総会での決議はどうだったでしょう。

コメリ議決権行使結果

定款変更提案の件:否決(賛成率31.45%)

剰余金処分の件:未採決(定款変更提案が否決されたため)

ひどいですなぁ。