2024年6月のパフォーマンス
月次:+1.5%(日経平均:+2.8%)
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2024年株主提案第4弾は9274_KPPグループホールディングスです。
当社は私の主力銘柄ということもあり本日の株主総会はオンラインで参加していましたので、株主総会で気になったコメントも含めて紹介します。
まずは当社の株主提案の内容から。
総還元性向[100×(配当金支払額+自社株式取得による支出)÷当期純利益]100%を企図した議案になっています。当社はすでに2024年3月期において中間配当と自社株買いを行っているので、当期純利益から中間配当及び自社株買いに要した金額を控除した残りを全部期末配当にせよ、という提案です。
提案の理由は以下の通り。
本提案に対し会社は当然反対しましたが、その理由は以下の通り。
とはいえ、当社も今回このような理由付けをしたわけですから、今後業績が低迷して収益が資本コストを下回った場合、今度は会社側が首を絞められる番でしょう。
田辺会長:インサイダーにも関わるので具体的なことは言えないが、今までは全部パッケージ形とビジュアルコミュニケーション系の会社だけだったが、M&Aのターゲットが少し変わってくるかもしれない。国内事業として回収事業があるが、今後は紙だけではなくペットボトルやスチール缶を含めた総合的な回収事業へともう少し幅を広げていく。投資する金額についても今後考える。
2024年株主提案第3弾は6932_遠藤照明です。
遠藤照明は購入候補になりうる銘柄であるため、少し注目して見ていました。
株主提案日:不明
株主提案受領発表日:見解発表日同日
会社見解表明日:2024/5/21
株主総会日:2024/6/26
提案者:個人株主
株主提案内容:
①剰余金処分の件
今期実績EPSの1/3を配当金に回せという提案です。提案理由は以下の通り。
②自己株式取得の件
1年以内に、取得価額の総額 1,600 百万円を限度として金銭の交付をもって当社普通株式を取得することを提案しています。
今期の実績純利益は4,649百万円なので、①の提案と合わせると総還元利回りは70%弱となります。提案理由は以下の通りです。
③定款一部変更の件(取締役の人気の短縮)
取締役の任期を2年から1年に変更することを提案しています。提案理由は以下の通り。
個人株主からの提案ですが、たんなる個人とは思えないほど勉強されています。ファイナンスの知識に加え当社の方針等もきちんと理解していると思われます。
特に提案①はとても説得力のある内容となっており、会社の反論が気になります。
さて、その気になる会社の反論は以下の通り。
まず提案①については反対で、その理由として以下のように説明されています。
提案②については、自己株式取得の重要性は理解しているが、「当社株式の取引状況及び株価を踏まえながら、将来の成長に向けた投資とのバラ ンスを考慮した上で、適切な時期に行うべき」とのこと。「今じゃない」というのが会社の解答ですね。
③については、「株主提案と同一の内容を会社提案として提出する。提案理由は違うけどね。」とのこと。
したがって本提案は、「取締役の経営責任を明確にし、経営環境の変化に迅速に対応できる経営体制を構築するた め、取締役の任期を2年から1年に短縮する」という会社提案・株主提案という扱いに変わりました
「株主提案に賛成」というものを見てみたかったですが、これはこれで良い対応だと思いました。
さて、6/26に行われた株主総会での決議結果は以下の通りでした。
株主提案①、②→否決
株主提案③→(会社提案・株主提案として)承認可決
結果は残念でしたが、とても勉強になる株主提案でした。
会社の主張する海外事業拡大が実際に実施されるかどうか、しっかり見ていきたいと思います。
2024年株主提案第2弾は1967_株式会社ヤマトです。
株主提案日:不明
株主提案受領発表日:見解発表日同日
会社見解表明日:2024/5/15
株主総会日:2024/6/18
提案者:サンシャインE号投資事業組合
株主提案内容:剰余金処分の件
今回の提案はシンプルに剰余金処分の件(配当提案)のみ。
当社は2022年3月期及び2023年3月期における配当額及び配当性向はそれぞれ25円(23.3%)及び25円(31.3%)でした。本株主提案は、2024年3月期の配当総額を100円にせよ、という内容になっています。本提案が出された時点では、2024年3月期の予想EPSは79.26円(実績は58.65円)でしたから、配当性向を100%以上にせよというものです。
主張のポイントは「PBR1倍割れ解消」です。
提案者はPBR1倍割れ解消のためこれまで当社と議論を繰り返し行ったようですが、満足のいく結果が得られなかったことから本提案を行ったようです。
提案者が指摘する当社の問題点は以下の通りです。
以上の問題点を踏まえ、提案者は以下のように「具体的な対応策」をまとめています。
具体的な対応策:以下5点を総合的に勘案し、今期の配当を当社の DOE(株主資本配当率)7%相当額を踏まえた額である1株当たり100 円とする。
①資本コスト・資本収益性を十分に意識した経営資源の配分を行うため、まずは PBR1倍を達成すべき
②政策保有株式を売却して株主還元策に回すことが適当
③過剰な自己資本を見直すべきであり、 これ以上の資本の積み上げは不要
④当社の今期における1株当たり利益は 79.26 銭と予想されている(⇦「79円26銭」の誤記)
⑤ 2024 年3月期第3四半期における1株当たり純資産は 1,399.10 銭と予想されている(⇦「1,399円10銭」の誤記)
昨日のコメリの会社回答に比べるとしっかりした内容になっています。ただ、「自己株式取得は効果的ではない」「PBR1倍が目標として掲げられていない」「自己資本比率が高すぎる」という提案株主が指摘している問題点を悉く無視しているので、コミュニケーションがうまくいっているように思えません。
このように議論は若干すれ違ったまま株主総会を迎え、結局本提案は反対割合82.436%で否決されました。
今年も活発に行われている株主提案。
株主総会もそろそろピークを迎えるので、いくつかの株主提案をピックアップし、提案内容の確認、総会決議結果、株価への影響等を見ていきたいと思います。
まずは8218_コメリ。
株主提案日:2024/4/18
株主提案受領発表日:2024/4/23
会社見解表明日:2024/5/14
株主総会日:2024/6/21
提案者:NORTHERN TRUST CO.(AVFC) RE NVI01(代理人 日本バリュー・インベ スターズ株式会社)
株主提案内容:
①定款一部変更(剰余金の配当等の決定機関)の件
定款上、剰余金の配当等は株主総会の決議によらず取締役会の決議で決めることができるようになっている(以下参照)が、これを「取締役会の決議によって定めることができる。」に変えろとの提案です。
当会社は、剰余金の配当等会社法第459条第1 項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定める。
②剰余金処分の件
上記①が承認可決されることを前提に、配当性向50%になるよう期末配当を支払えとの提案です。
①が一見分かりにくいですね。
定款のうち「剰余金の配当の決定機関」は、通常、「計算」という項に定義されています。
決定機関に関する記載は大きく以下の4つに分けることができます。
1. 株主総会の決議によって配当を行う
2. 取締役会の決議によって定めることができる
3. 取締役会の決議によって定める
4. 記載なし
4の場合は株主総会の決議によることになるので、実質は「株主総会で決める」「取締役会で決めることができる」「取締役会で決める」の3パターンと言っても良いです。
コメリは現状、例外なく取締役会で期末配当を決めることとなる「3. 取締役会で決める」のパターンなので、一つ緩い基準である「2. 取締役会で決めることができる」にしろ、との提案です。
提案理由は以下の通りです。
ざっくりいうと、「成長投資を理由に配当性向を抑えているが、実際には全然使ってないじゃん。配当上げてよ。現状の定款だと配当に関する株主提案すらできないから、まずは定款を変えて株主も配当に関する提案ができるようにしようよ。」というところです。で、①が承認された場合は早速この総会で配当性向50%を意図した提案(提案②)をしているという形です。
定款変更の提案はとても真っ当な内容だと思いますが、それに対する会社側の回答は以下の通り。
「配当額を機動的に決定できるようにするため、・・・株主総会ではなく取締役会の決議により行えるようにしております。」
過去にもたくさん「配当決定機関変更」の株主提案はありましたが、回答はどこも同じで「機動的に決定」というところを理由にしています。株主としては機動的に決定してもらうメリットはかなり限定的なので、これは会社都合の理由と言ってもいいでしょうね。
上記お決まりの文言の後、コメリ側は色々「想い」を語り始めています。
その上で以下のように締めくくっています。
本株主提案は、当社グループの置かれている経営環境や事業特異性等が考慮されていない短期的な視点での提案であり、今後の当社グループの事業運営や資本政策の柔軟性や機動性が損なわれ、株主の皆さまにとってメリットがないと考えます。
これは全くもって意味不明で、この定款変更がなぜ「短期的な視点での提案」なんですかね。そして株主にとってメリットがないだなんて、勝手なことを言わないでください。
先ほど配当決定機関に関する定款には4パターンあると記載しましたが、コメリのように株主からの提案を認めないパターンの定款は少数派です。
東証P企業に絞って現在全社の定款を調べようとしているところです。とりあえず会社コードが若い順に始めて165社調べ終わりましたが、コメリのように株主からの提案を認めないパターンの定款は18社(=10.9%)です。
コメリ的には、81%の会社の定款は短期的なんですかね。株主にとってメリットのない諦観なんですかね。
反対するのはいいですが、もう少しまともな理由を書きましょうよ、と。②への反対理由ならまだ分かりますが。この反対文を書いた人とは全く話が合わない気がしますし、この会社は自分にとって全く投資対象にはできないことがこの文書からもよく分かりました。
一方、提案②に対する反論は「自己株式の取得を3期連続でやっており、それと合わせた総還元成功は30%以上だ!」というものです。
株主提案に記載されている内容を踏まえると30%でも全然足りない、というところだと思いますが、会社としては50%だと「短期的な株主還元に着目」したものであり、「中長期的な当社グループの成長戦略のための成長基盤投資財源が損なわれ、当社グループの競争力を低下させる恐れがある」んですって。なんで30%はよくて50%はダメなんですかね。
その辺りの具体的な説明は全くないまま、ただただ反対しているだけにしか見えません。
このようによくわからない会社見解でしたが、総会での決議はどうだったでしょう。
定款変更提案の件:否決(賛成率31.45%)
剰余金処分の件:未採決(定款変更提案が否決されたため)
ひどいですなぁ。
2024年5月のパフォーマンス
月次:+20.7%(日経平均:+0.2%)
ポジションは前回投稿時と変わらずKPP>三菱製紙>>ソマール、フコク>ジェイ・エス・ビーです。
レバレッジは1.5倍くらい。
決算を見て以下2銘柄をほんの少しだけ買いました。
5185フコク
8152ソマール
KPPや三菱製紙の1/10以下しか買えていないので、パフォーマンスへの影響はほぼありません。
今のところポジションはKPP>三菱製紙>>ソマール、フコク>ジェイ・エス・ビーです。
レバレッジは1.5倍くらい。